天職と人脈は、つくれる。Sansan日比谷尚武に聞く「キャリア」と「つながり」のつくり方

前回は日比谷氏のキャリアと働き方について詳しくお話を聞いたが、今回はSansanの「コネクタ」として社内外で積極的に「つながり」をつくっている日比谷氏に、私達でもできる「つながり」のつくり方と、併せて、自ら「コネクタ」という仕事を生み出した日比谷氏に「キャリア」の築き方について伺った。

IMG 19101

日比谷尚武 大学卒業後、大手SIに新卒で入社。4年間の勤務を経て、後輩が立ち上げた社員10人あまりのベンチャー企業に転職。取締役として、システム開発・営業・企画・マネジメント全般に6年間従事した後、Sansan株式会社に入社。マーケティング、広報を経て、現在はコネクタ/Eightエバンジェリスト。Sansan名刺総研所長。

プライベートで「四畳半図書館」「アナログレコードの啓蒙」「江戸吉原文化の研究発表」

実は働く傍らプライベートでは14〜15年前に「四畳半図書館」というその名の通り、四畳半の部屋を借りて図書館をやっていました。

現在も「アナログレコードでロックを聴く素晴らしさを啓蒙する活動」や「父親が始めた江戸吉原文化研究の成果を、ポップに脚色して発信する活動」などもやっています。仕事に近いものだと「BtoB/IT広報勉強会」の主催も。

385853 272974459416226 1185383706 n
「四畳半図書館」があったアパート

結果的に「四畳半図書館」がきっかけで知り合った編集者の中川淳一郎さんとのご縁で嶋浩一郎さんのPRセミナーに通い始め、それが現在のコネクタや広報、エバンジェリストの仕事につながっています。

仕事とプライベートの垣根がない

このように「コネクタ」として働く前からプライベートでのつながりが仕事になることも多くオンとオフを分ける概念がないんです。

仕事とプライベートが混ざった働き方をしていると「プライベートを純粋に楽しめないのでは?」とも聞かれますが、それらを義務でやっているのか、本当にやりたくてやっているのか、そしてそこに意味があるか、ちゃんとハラオチしないと私もモチベーションは上がらないです。恐らく皆さんもそうでしょう。

私の場合、もともと仕事とプライベートの垣根はないタイプでしたが、今ほどオンオフを分けなくなったのは「コネクタ」が仕事になったのが大きいです。今までは広報や経営の一環として、コネクタ的な動きをしていましたが、今は「コネクタ」として社外で情報やコネクションを得ること自体が仕事です。さらには社外で得たものを社内で必要としている人たちとマッチングさせることも重要。つまりは社内外でのコミュニケーション量が増えるため、そもそも仕事とプライベートの間に垣根をつくることが逆に難しかったりもします。

このような働き方は合わないと感じる人もいるでしょうが、私にとっては本当に天職ですし、環境のおかげでもあります。

日比谷流「天職に巡り合うためにやるべき3つのこと」

一方で「コネクタ」という天職に巡り合えたのはなぜだろうと考えたとき、私自身は下記の3つが大事なのではないかと思っています。

1. 自分の強みを自覚する

  • 自分がもっとも力を発揮できること
  • 時間を忘れてやってしまうこと
  • 普通にやっているのに周りから「すごいね」と言われること

これらが何かを常に考え、仕事に活かす道を探る。例えばSansanの場合は、強みを活かして成果を出すことが組織や個人の成長につながると考えています。したがって、部署内で強みを発表し合う「強マッチ」制度を設けるなど、互いの強みを活かせる環境を構築するのです。

強みと弱みは表裏一体、弱みを潰すのではなく、強みを伸ばす思考で仕事をし、自分の得意分野にイチ早く気付くべきです。

Sansan1
Sansan公式HPより

大企業や役割が完全に決まっている仕事の人は、その枠外のことがなかなかできず強みを見つけにくいかもしれませんが、社外活動でプロボノをやるなり地域活動に参加するなり、違う組織で役割を変えてやってみてアジャストしていくという方法もあります。

2. 求められている役割に敏感になる

Will、Can、Mustの話になりますが、

Will……やりたいこと

Can……できること

Must……求められること

組織で今は何が求められているか(Must)と自分はその中で何ができるのか(Can)と、一方でキャリアチャレンジとして何をやりたいか(Will)。これらは別モノなので、俯瞰で見ないと「やりたい!」「できる!」だけで会社に貢献できていない場合、その人は会社にとっては不要な人材です。若手に限らずここを理解できていない人はわりといる印象ですので、Will、Can、Mustは常に意識するといいと思います。

Hibiya8
日比谷氏「(超一般論だ……)」

3. 会社の経営方針や事業構造を理解する

仮に会社で働いている方だとしたら事業や会社の運営上のルールや構造があって今の自分の仕事があるはず。つまりは経営や事業のことをもっと知るべきです。

なぜ自分が今の環境に置かれ、なぜその仕事を任されているか。会社がこう動こうとしているから自分の求められていることが変わるんだとか、当然因果関係があります。それも分からず、自分だけ「こうしたい!」と主張ばかりしていては、世の中や会社についていけなくなり残念な結果に……。最低限の知識として、会社の事業構造や動向は理解していないと厳しいです。

日比谷流「全ての出会いをつながりに変えるテクニック」

そして前回もお伝えしたように、私のキャリア形成には学生時代から現在に至るまで「つながり」が大きく関係しています。もちろん「コネクタ」という仕事柄「つながり」をつくることも多いですが、仕事でもプライベートでも常に「つながる」ことは意識しています。

これは別にコミュニケーション能力だけの問題ではなく、ある程度はテクニックも重要。ですので、仕事でも飲み会でも「つながり」をつくるのであれば、

  • 相手の仕事についてちゃんと聞くこと
  • 自分の仕事についてちゃんと伝えること

この2つはマストです。

会話では一歩踏み込む勇気を持つ

仕事についてもただ何となく聞くのではなく、相手が業務上で達成したいことを聞く。例えば「メディアのPVを伸ばさなきゃいけない」「今期はこれくらい売らないといけない」など、皆さん仕事でやるべきことがあるはず。

「今の仕事ってどんなことやってるの?」「もしかしたら何かあったときに紹介できるかもしれないし教えて!」と一歩踏み込むのが大切です。

Hibiya4
「つながり」の多さを物語る日比谷氏のMac

コツコツ貯めた「つながり」は資産になる

逆に相手には、

  • 現在やっていること
  • 得意なこと
  • 困っていること

を伝える。そのつながりを少しずつ貯めていくうちに「そう言えばあの人にこの案件を頼めそう」「あの記者さんにこの人を紹介したら喜びそう」とか出てくるんです。

まずはギブアンドテイクができる関係をコツコツ積み上げて構築していくといいです。助け合いができる基盤をつくっておくことが将来の資産になりますよ。

でも、人見知りな人はどうしたらいいんですか?

とはいえ、今の方法を直ぐに実践するのは難しいかもしれません。「つながり」はつくりたいけど、仕事や飲み会で出会った人にそこまで踏み込めない……。そういった方は、

Hibiya11
う〜〜〜ん
Hibiya12
あっ!

自分がいる業界や職種に関連したコミュニティや勉強会に飛び込んでみるのはどうでしょう。自分が手掛けている分野の話はしやすいでしょうし、ハードルも低いはず。

コミュニティがない場合は他社の同じ職種の人達と食事をしたり、とっつきやすいところからやってみるのがいいです。他だと同級生。大学時代の友人達と久々に集まって「今何してるの?」って。何らかの共通言語がありつつ、今の自分とは違う環境にいる人、複数人とのランチがいいですね。まずはランチです!

身近な仲間だけが大事な「つながり」ではない

「つながり」は大事に貯めておいて、何かあったときにサプライズが起こりやすいようにしておく。早いうちからやっておくに越したことはないですよ。

最後になりますが「弱いつながり」というキーワードがあり、必ずしも身近な仲間だけから、人生の大事な「つながり」が生まれるかといったらそうとは限らないわけです。一回会っただけの人との「つながり」から実は……というのも結構あるし、それが面白いし、人生の醍醐味。けれども最初はその価値に気付きにくい。

最後の最後、PRになりますが、社会人は早いうちからEightを使って「つながり」を貯めていくといいと思います。もちろん使わなくてもいいですが、そういった視点を持って人と付き合っていくことが大切だと、今改めて感じています。

【キャリアトレック会員限定】おまけコンテンツ

記事内には掲載しきれなかった下記のコンテンツをキャリアトレック会員の方向けに限定公開いたします。

【おまけ1】Sansan日比谷尚武の原点「四畳半図書館」の誕生秘話

【おまけ2】Eightエバンジェリストの本音と下心

【おまけ1】Sansan日比谷尚武の原点「四畳半図書館」の誕生秘話

四畳半図書館は最初「弱いつながり」で始まったんです。「ウェブはバカと暇人のもの」を出版する前の中川淳一郎さん、講談社に勤めている格闘家兼編集者の方と学生起業家クンと僕の4人でした。今から14〜15年前に、東池袋の四畳半の部屋(家賃3〜4万円)を借りて、そこにレコードとか本を溜めておき、皆でそこをたまり場にするという。今で言うシェアサロンみたいなものです。

スクリーンショット 2016 07 07 11 45 30
mixiのコミュニティもある

もともとは学生起業家クンが私を含めた3人とそれぞれつながっていて「変わった人同士を集めてなんかやりたいんですよね」と。それで私も呼ばれて、実際に会いに行ってみると……ロン毛のおじさんとマッチョ坊主のおじさんがいて……。その2人が中川さんと編集者の方でした。当時は面食らいつつも、面白そうだなと思い参加したんです。

最初は4人共、互いにそこまで面識はなかったんですが、月1で集まるうちにその四畳半の部屋にライターさんや企画を立てる人も出入りし始めて、そこからは一緒に銭湯に行くような仲に。

Kamata
銭湯での一コマ

ちなみに、東池袋→恵比寿→戸越銀座と、各地を転々としながら2年位やってました。図書館の性質上、不特定多数の大人達が出入りするので、隣人からは「何か怪しい取引き用の部屋では?」「危ない人達のアジトでは?」と疑われることもあって、移転を余儀なくされることもありました。

Hibiya15
日比谷氏「健全なことをしていたんですけどね……(笑)」

残念ながら運営は終わってしまいましたが、現在も中川さんにはPRの相談をしたり、講談社の方にはライターさんを紹介していただいたりと、始まりは「弱いつながり」でしたが、今は公私共にとても良いお付き合いをさせてもらっています。

今思い返すと、昔の私はかなり受け身でその割には好奇心旺盛なタイプ。知らないおっさん達と一緒に何かするなんて普通に考えたら引いてしまうものですが「これをやったら面白い」と思ったらやる、これはもともと人生観として持っていました。

「四畳半図書館」の運営に一歩踏み込んだことが、結果として現在の「つながり」を仕事にする原点になってるかもしれないですね。

【おまけ2】Eightエバンジェリストの本音と下心

Facebook疲れという言葉もあるように、ビジネスとプライベートのつながりが混ざりきったFacebookでは「何を投稿したらいいか分からない」「プライベートな投稿をしたいけど仕事の付き合いの人もいるし……」こういったケースが多々あります。

もちろん設定でコントロールできる部分もありますが、設定してまで投稿するものでもなかったり。そう考えるともはや何も投稿できず……。

そんな日比谷氏のFacebookは友達4999人

スクリーンショット 2016 07 06 21 07 54
以前拝見したときは5000人だった
スクリーンショット 2016 07 07 13 52 06
現在は4999人、あと1人しか友達は増やせない(Facebookの友達には5000人までの上限がある)

Facebook友達5000人の会に参加したところ……

先日、Facebook友達5000人の会に参加した際に、某webメディアの取材がはいっており、Facebookについて色々意見を申し上げたんですが、Eightのよさをアピールしすぎたことでカットになりまして……Eightのエバンジェリストとしては本望です(笑)。

私の本音としては、是非ともビジネスSNSとしてEightを活用して欲しいんです。ここまでご覧になって下さっている方々にはお伝えしますが、私達の下心としては是非ともEightのフィード機能をたくさん使ってもらいたい。

例えばどういう使い方があるかと言うと、仕事の相談をはじめ、セミナーやイベントの告知、この記事書きましたとか、新商品出たよとか。仕事のお知らせをどんどん投稿してみて欲しいです。「つながり」の話にも関連してきますが、予想外の人から「ウチに営業に来てよ」とか「それならウチも寄稿するよ」とか何かが出てくるはずなんです。

現状はまだ名刺管理の色が強かったりもしますが、新しいコラボレーションを生み出す意味でも是非ともフィード機能、使ってみて下さいね。

Hibiya17
Sansanロゴと日比谷氏、笑顔
小林由依
日刊キャリアトレック編集部員。流通経済大学サッカー部で広報、livedoorニュースのトピックス編集を経て現職。好きな本は「オシムの言葉」。最近フジテレビがドラマの再放送をやらなくなって地味に悲しいです。