営業、経営、カネ、リスク。全てを2年で学べる、光通信の独立支援制度がすごかった

前編では、株式会社光通信がおこなっている独立支援制度の一環であるシェアハウスをご紹介しました。後編では、独立支援制度が生まれた背景やカリキュラムについて採用戦略部部長の竹内優明希さんに伺いました。

竹内 優明希
新卒で株式会社光通信に入社し、2年後に独立し起業。倒産を経て、光通信へ再入社。光通信のグループ会社13社の取締役、2社の代表取締役と3社の監査役を担当したのち、採用戦略部部長に就任。

起業文化から生まれた独立支援制度

独立志向の人が集まる光通信

シェアハウスの取り組みに先立って、光通信には「独立支援制度」というものがあります。元々光通信という会社自体、独立志向の人が集まるという文化がありました。創業者の重田が22歳で独立して作った会社ということも関係しているかもしれません。

光通信は営業会社というイメージを持たれがち。しかし、ベンチャーキャピタルという側面もあります。例えば光通信が出資して上場した会社は100社以上。こういった独立文化が生まれたのは、会長の重田による取り組みによるものです。以前より、独立の際に重田にビジネスプランのプレゼンをして認められれば支援をおこなっていました。それを少しずつカリキュラムとして制度を整えていき、現在の独立支援制度が出来上がりました。

将来独立をしようという気概のある人を支援して育てれば、全国に光通信の販路が生まれます。つまり、光通信にとってもメリットが大きいんです。

起業のリスクをほぼゼロに

独立してみたいという人に比べ、実際に独立する人の数は往々にして少ないもの。なぜ少ないかというと、借金を背負って無職になるリスクがあるからでしょう。ただ、弊社の独立支援制度では、今までの実績で最低200万円から最高1億円の独立支援金が支払われました。これは原則、融資でも出資でもなくプレゼントです。実際、この制度で独立した場合、3年後に8割の会社が残っているんです。

光通信出身者がビジネスに強い理由は、社員のうちから社長としての考え方を求められることにあると考えています。課長以上になると部の予算を金額(PL)で追い、責任を持ってもらいます。また、挑戦を良しとする会社の風土もありますね。社内で新規事業を提案するのは大歓迎。実行して失敗したとしても、なにもやらなかったより評価が上がります。

これまでに生まれた事業

これまでに取り組んだ事業は星の数ほどあります。

例えば、世の中から待ち時間という無駄をなくすE-PARK。新電力やインターネットプロバイダ。格安スマホもどこよりも早く手がけましたし、AKB48の「推しメン」の名前でドメインをとれるサービスなんてのもしました。

決裁権は基本的に事業部内にあるので、企画から事業開始までのスピードが非常に早いのが特徴です。

独立のノウハウを集約した起業ラウンジ

本気で独立したい人を応援する

光通信には今までに独立した人がたくさんいるので起業のノウハウがあります。このノウハウをまとめたのが起業ラウンジなんです。社員なら誰でも参加できるのですが、起業を決めている人に特化して支援するために、シェアハウス制度が今から2年ほど前に生まれました。

シェアハウス制度では入居から2年後に独立するというのが決まっています。光通信の子会社や事業の一部となるのではなく、完全に独立した自分の会社としての起業です。家賃や光熱費はすべて弊社が支払いますし、給与も月25万円(※1)支払います。起業ラウンジにいる間は給与も家賃も光熱費も気にしなくていい。そのかわり、参加者には本気を表してほしいということですね。

(※1)実績によって昇給あり

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2年間で起業のすべてを学べる環境

起業ラウンジの参加者は3ヶ月ごとに部署異動をして、自分に合った営業方法や営業スキルを身につけることができます。通常はその部署の社員と同じ一日を過ごしますが、月に3回程度、社長になるためのカリキュラムを受けます。また、光通信には独自のライセンス制度があり、統括部長以上になるには10科目の試験に合格しなければなりません。そのライセンスを1年で取ってもらいます。

1年半で座学の研修はほぼ終わり。あとの半年は社長になる準備期間です。ビジネスのビジョンや事業計画、商材などを定め取締役陣へのプレゼンを準備。プレゼンを通過したあとには登記に伴う書類作成などのフォローもおこなっています。

実際、現在の独立支援制度が始まってから、電力サービス事業やコールセンター事業などで次々と起業していっています。

かつてブラックと呼ばれた光通信の今

生きた経験を起業ラウンジで伝えたい

ここで少し、私の経歴についてお話しします。私は高校を2年で退学し、大検(現在の高卒認定)を取って大学に入りました。留学も含め6年通い、卒業したのは24歳のとき。その頃には、根拠なく「将来は社長になる」という確信を持っていました。そこで、独立する人の多い会社を調べ、出会ったのが光通信です。入社後は営業などを2年間おこない、葬儀業で独立しました。

しかし、27歳のときに事業は失敗。もう一度ビジネスを学びたいと思い、光通信に戻ってきたんです。戻ってきてからは、光通信のグループ会社13社の取締役、2社の代表取締役と3社の監査役を担当させていただきました。やがて人事部に配属され、現在の仕事に携わるようになりました。

サービス残業・パワハラを徹底して撲滅

こうして戻ってきたのですが、大きな改革がありました。自分が新卒で入社した頃、たしかに光通信は、Web上でブラック企業と言われていました。ここ数年、さまざまな企業でブラックな働き方が問題となっていますよね。幸い、光通信は「ブラック企業」という不名誉な評価を10年以上前にいただいたことで、経営層が法令順守の大切さに気付き、トップダウンで組織改善を進められたんです。

組織を大きく変えたのは、労働時間とマネジメント。かつては労働時間を実際の勤務より短く申告する、いわゆる「サービス残業」がありました。この対策としては、オフィスの退館時間を全てログで取るようにしました。退勤の時間を打刻したら、15分以内にオフィスを出るように徹底しています。1分でも過ぎたら、サービス残業とみなし、退館時間にあわせて退勤時間を修正させます。

マネジメントでは、ご意見箱を作り社員間で不当なパワハラがおきないよう見守る体制をとりました。匿名の意見箱に、パワハラと思われる行為を受けた、あるいは目撃したらその情報を入れるよう全社員にお願いしました。人事は、意見が来たらその日中に、関係者やその周囲の人間にヒアリングをおこない本当に不正があったら通達のうえ処罰します。

このふたつを徹底し、光通信は変化を遂げたと感じています。

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ひとつ屋根の下で切磋琢磨

入居者のコミュニケーションを促進

はじめは池袋の3LDKのマンションを5戸借りていました。ただ、理想は10LDK以上で、入居者全員が集える広いリビングのあるような建物。みんながリビングに集まってきて起業の話をして切磋琢磨していく環境が欲しかったんです。より良い建物を探し続け、見つけたのがこのシェアハウスです。

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シェアハウスを始めた理由のひとつは、より良い人間関係の構築です。物理的な距離や壁というのは人間関係の壁をも構築してしまうものなんですよ。しかし、このシェアハウスは広いリビングを設けるなど、開放された造りになっています。人が集まる場所を作ることで、物理的にコミュニケーションを円滑にしているんです。この点はシェアハウスの入居者からも好評です。

熱意さえあれば誰でも応募可能

今は起業ラウンジの2期生から4期生まで計8名が同居しています。このシェアハウスでは男女も年齢も、学歴も関係ありません。今まだ21歳の者や、早稲田大学の合格を蹴り、親を説得して飛び込んできた者もいます。社長になりたいという気持ちさえあれば、こちらで全部教えます。入居にスキルはいりません。熱意がある人に来て欲しいですね。

社長になれる人は行動力のある人

社長になれる人というのは、やはり熱意のある人です。ですから、面接のときには熱意を測るために3回、「なぜ」と聞きます。「私は社長になりたいんです」と言われたら「なぜ」と。「小さい頃からの夢なんです」「ほう、ではいつから」と。それを3回くらい聞いていくと、本当に決意があるかどうか見えてきます。

行動力も欠かせない条件のひとつです。ビッグマウスでも行動しない人は社長になりえません。私が見てきたなかで社長になった人は、行動力のある人です。思い立ったが吉日よろしく、やろうと思ってすぐやれる人は結局成功します。ですから、正直頭は悪くても構いません。学がなくてもビジネスで成功している人はいっぱいいますから。

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優秀な社長たちを輩出するブランドへ

今後の起業ラウンジの目標として、カリキュラムのさらなる強化を目指しています。現在私の部隊でカリキュラムの改革を担当していますが、できれば50人の創業社長監修のもとカリキュラムを作りたいなと思っています。弊社代表の重田、ソフトバンクの孫さん、ユニクロの柳井さん、小さいけれど成功されている色んな会社の社長など。彼らのノウハウを詰めたカリキュラムを作成していきたいと考えています。

将来的には良質なカリキュラムを通じて、実際に活躍する社長をどんどん輩出していきたい。現在、100社以上が制度を使って独立しました。光通信が新しい商材を開発したときには、彼らが販路として手を挙げてくれます。日本全国につながりができているのは素晴らしい強みです。

それと同時に、自然と起業ラウンジのブランド力が高まるのが理想です。優秀な社長を日本一輩出する、誰もが知っているものにしたいですね。