
日刊キャリアトレック編集部が転職経験者に「はじめての転職」について聞いてみました。
今回お話をしてくれた方:山内さん(仮名)/北海学園大学卒/医薬品の卸会社のMS職 → 調剤薬局の事務職
新卒で入ったのは、地元の歴史ある医薬品卸会社でした。地元企業であることは、会社を選ぶにあたり最も重視していました。
家族や友人がいる慣れ親しんだ土地を離れたくなかったのと、社会人として故郷に恩返ししたい思いがあったのです。そのため、業種はそれほどこだわらず、北海道内に絞ってさまざまな地元企業を受けました。
MRじゃなくてMS。医薬品卸会社のルート営業職に
結果的に医薬品卸の会社に決めたのは、完全週休二日制であること、人の健康や病気に密接に関係する医療品を扱う仕事に惹かれたところにあります。
仕事は「MS」と呼ばれる、病院や調剤薬局向けの医薬品のルート営業でした。1日は営業所での朝礼・会議で始まります。その後クリニックのドクターや理事長、調剤薬局では薬局長や事務方のスタッフの方などとの面談。夕方に帰社し、日報や売り上げ管理、資料整理をしていました。
営業先でのトークは、薬や医療に関する情報にとどまりません。ときに話題は相手の趣味にまで広がることもあります。さらに休日も、得意先の行事のお手伝い、忘年会や新年会の参加などなど、業務外での「仕事」はとても多かったです。
ただ、人と接することが好きだったので、それら営業の仕事に抵抗はありませんでした。
転職したのは「出産後も働きたかった」から
転職を考えるようになった理由のひとつは、営業という競争社会の過酷さです。
MSは同業他社との競争が熾烈でした。地元で同じ薬を取り扱っている会社が数社あり、自分の会社で買ってもらうためには得意先との関係強化が一番のポイント。薬を扱うMRさんとの連携も欠かせません。
そんな競争に面白さを感じる半面、将来的にこのままずっと続けていけるか不安がありました。そして何よりも転職したくなったのは、営業職が自分の今後描いているライフスタイルには合わない、と感じたことが大きかったです。
私は結婚して出産後も仕事を続けたいと考えていました。しかしそうなると、勤務時間が流動的な営業の仕事は続けにくいのではないか、と感じたのです。営業のときは、会食でも入ろうものなら帰宅が日をまたぐこともありました。仕事帰りにプライベートな時間を持つことすら難しかったです。
色々考えた結果、入社して4年経ったころには、20代のうちに転職するつもりでいました。子どもがいないうちに新しい職業に就いた方がいい、と思ったのです。
27歳で今の夫と結婚。人生の転機としてちょうど良いと感じ、その年に転職を決断しました。なるべく定時で帰ることのできる事務職を希望していました。
自分の将来を考え、残業のない転職先へ
転職先は、営業でお世話になっていた調剤薬局。ちょうど事務職のポストが空いたとの話を聞き、ぜひ働きたいとそこに勤める知人に相談したところ、社長に話をつないでもらい、無事入社が決まりました。
仕事は、主に患者さんの処方箋などを扱う窓口業務です。処方箋をもとに点数を計算して、会計する流れになっています。項目ごとに点数が決まっており、事務作業がメイン。
残業はほとんどありません。週末や風邪が流行したときには薬局が混んで定時で上がれないこともありますが、営業のときに比べると帰る時間は格段に早くなっています。
また、今の職場は女性が多数おり、産休・育休を取っている人もいます。女性に優しい環境が整っているので、今後子どもができても仕事を続けたいと考えています。
(了)
