企業が欲しがる人には共通点がある。現役ヘッドハンターが語る「30代で生き残る人、生き残れない人」

今回は日経ビジネススクール主催「NBS NIGHT〜人工知能に置き換わられない自分の作り方〜」にて開催されたセミナー「35歳転職限界説は本当?現役ヘッドハンターが語る『30代で生き残る人、生き残れない人』」のレポートをお届けします。

登壇ヘッドハンター

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高本尊通 株式会社プロフェッショナルバンク 常務取締役。学生時代からベンチャーを起こし、卒業後株式会社パソナに入社。2004年、プロフェッショナルバンク設立に参画。業界屈指のTOPタレント特化のヘッドハンターへの成長を牽引。

司会進行

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池野広一 株式会社ビズリーチ キャリアトレック推進部 部長。人材系ベンチャー企業を経て、2010年に株式会社ビズリーチ入社。2013年よりキャリアトレックの立ち上げに携わる。現在はキャリアトレック事業の販売・採用支援サポート部門を管掌。

池野

本日、司会進行を務めさせていただきます、株式会社ビズリーチの池野と申します。

今回のメインテーマは大きく3つです。

1. 20代と30代では採用企業の印象はどのくらい違うか
2. 30代で大きく年収を伸ばすためにできること
3. 経営幹部に「なれる人」と「なれない人」の違い

池野

これらをヘッドハンティングの最前線でご活躍されている株式会社プロフェッショナルバンクの高本尊通さんからお話しいただきますので、最後までお付き合いください。

20代と30代では採用企業の印象はどのくらい違う?

池野

ではさっそくですが、実際に企業が採用する際に20代と30代で見るポイントが違ったりするものなのでしょうか?

高本

20代と30代というより、20代前半と30歳前後と30代後半の3つに分けたほうがいいかもしれません。

いわゆる転職市場において一番の売れ時は30歳前後です。その中で20代と30代では、同じ業界へ転職する場合と、未経験にチャレンジする場合とで分かれます。

未経験からチャレンジしたい場合は20代が、同じ業界の場合は30代が重宝されます。過去の経験と自分がどの業界を求めるかで状況は変わってきます。

30代で大きく年収を伸ばすためにできること

池野

では次に、30代で大きく年収を伸ばしたり、企業が欲しがるモテ人材になるためには、何をしておくべきでしょうか?

高本

非常に残念な回答ですが、年収を上げたり企業にモテるための飛び道具はありません。当たり前のことですが、今の仕事を一生懸命やることが重要です。

しいて言うなら自分自身の情報を発信すること。例えば、僕らヘッドハンターはどの企業にどんな人がいるかの情報収集を欠かしません。その際、自分自身の業務や興味があることを発信している人は、僕らの目につきやすい。一生懸命頑張っていても、発信しない人のことはヘッドハンターも分からないんです。

ですので、目の前の人と仕事に向き合って実績を作り、自ら情報を発信する。結果として評判が生まれ、年収がアップしたり「モテ人材」になれたりするのではないでしょうか。

「接客のバイトはAIとロボットに置き換わる」は本当か?

池野

では本日のイベントテーマでもある人工知能やロボットに置き換わってしまうスキルとは一体どんなスキルなのでしょうか?

高本

例えばよく言われる話ですが、接客のアルバイトはこれからAIに代替されるんじゃないかと。今は回転寿司店に行けばタッチパネル、ハウステンボスにはロボットホテルという状況です。

でもその仕事が将来危ないのではなく、その仕事におけるタスクの一部がAIやロボットに奪われるだけなのです。アルバイトの人は注文をとるだけではなく、お店の電球が切れたら替えるし、子供がお茶をこぼしたら拭くこともしますよね。

「ロボットが拭くようになる可能性もあるけど、できないこともある」

高本

かつて産業革命の時、機械が人の仕事を全て奪うと言われていました。でも今どうですか?仕事ありますよね。これと一緒です。

もっと言うと、皆さんご自身の今の仕事のタスクが一部AIやロボットに奪われる。であればもっとイノベーションできる仕事に時間を費やせます。ですからあまり悲観的になる必要はないかなと僕自身は思っています。

「転職はしなくていい、でも転職活動はすべき」とは?

池野

実際に20~30代の方ですと、そろそろ自分のキャリアを真剣に考える年齢かなと思いますが、自分のキャリアや市場価値を正しく理解するためにまずやったほうがいいことはありますか?

高本

なかなか手を挙げにくいと思うのですが、この中に転職活動をしたことがある人はいますか?

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複数人が手を挙げる

池野

結構いらっしゃいますね

高本

ありがとうございます。皆さんキャリアの感度が高いですね!

ただ僕は決して転職は勧めません。ただし転職活動は絶対にやったほうがいい。なぜならばリスクがないから。自分の価値を知るには転職活動が有効なんです。

池野

なるほど。

高本

皆さん実際に受けると分かりますが、心配しなくても、10社受けて10社受かりません(笑)

転職は10社の中で受かっているであろう2、3社と、現職の比較が大事です。もっと言うと転職活動をしてどこも受からなかった、それなら現職で頑張るしかないですよね?この「現職で頑張る」という答えを見つけるために転職活動をするのもアリです。

そういう意味ではヘッドハンターに会いにいったり、転職サイトをのぞくのはやるべきだと思います。

経営幹部に「なれる人」と「なれない人」の違い

池野

最後の質問になりますが、高本さんがヘッドハンターとして見てきたなかで、経営幹部になれる人となれない人の違いについて何か気づいたことなどはありますか?

それから実際に大手企業からベンチャーに飛び込んでいく事例であったり、逆にベンチャーから大手企業に移れるのかという話も聞かせてください。

高本

今日は大手企業の方が多いと聞いたのですが、実は経営幹部として大手企業から大手企業へ移るケースはあります。ただそこに関しては層が違いますね。

ですので若手の方向けの話をすると大手企業からベンチャーの経営幹部になることは可能です。移っている人達の共通点は先程も言った2点。

・目の前のことを一生懸命やって実績を残していること

・自分自身で発信しているということ

リスクを恐れない人、「嫁ブロック」がない人も◎

高本

あとは僕らみたいなヘッドハンターに相談することも大事。でも最後はリスクを恐れない人、つまり覚悟ができる人。また「嫁ブロック」にかからない人です(笑)。大手企業でかつ年収が高くなればなるほど「嫁ブロック」は多いです。

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奥さんですね。

高本

ですね。

ベンチャーから大手幹部になるのは総じてまだ難しい

高本

あとはベンチャーから大手企業の経営幹部になるのは、まだ難しい状況です。ただしデジタル関連の職種はそうでもないです。

例えば大手企業でも金融や医療などオールドエコノミーといわれる業界のデジタル部門であれば可能性はなくはないです。

とはいえ、総じて言えばベンチャーから大手企業の経営幹部になるのは難しい気がします。

32歳と33歳は全然違う?ヘッドハンターが明かす「転職の売れ時」

高本

転職には売れ時があります。転職時に圧倒的に重要な要素は2つ。

・年齢

・転職回数

高本

一番バリューがあるのは27~32歳。だから極端な話をすると27歳と28歳はキャリアのバリューがあまり変わらないけど32歳と33歳はえらい違いです。

特に大手企業は中途採用の際に、年齢をめちゃくちゃ見ます。おそらく40歳でメガバンクに入れる人はほとんどいないですね。だからやっぱり若いというのは武器ですよ。

大手企業にいる人は社内ベンチャー制度を活用すべき

池野

残り時間もわずかなので最後にご質問がある方はいますでしょうか?

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経営幹部になれる人となれない人の違いで、実績を残すこと、発信すること、リスクを取ること、という話がありましたが、こういう経験をしているといいといったものはありますでしょうか?

高本

大手企業の方が多いという前提で話しますと、大手企業にはパーツの仕事をしている方が多いですね。

だから大手でよくある社内ベンチャー制度はいい機会なんです。僕も前職で同じ機会がありました。わりとベンチャー志向の方が多い企業でしたが、それでも恐らく全従業員の10%も応募してないと思いますよ。

他にも総合商社の方なら設立間もない関連会社に飛び込む。あれは社内ベンチャーですよ。外に出るといかに1万円を稼ぐのが大事か分かる。それは本体にいたら分からない。既に先人達の知恵が社内に回ってますから。だから大手の人は、パーツではない職務経験を積めるといいかなと思います。

成長フェーズで活躍できる人とマネジメントができる人は◎

池野

それはゼロから仕組みを作ったりとか?

高本

それもありますし、ゼロからイチを立ち上げた後も、成長フェーズに入るタイミングでは様々なことが起きます。

例えば営業の評価制度がないとか、経理はやってるけど財務戦略をどうするとか、ドメスティックは整ったけどグローバルをどうするとか。成長フェーズにおいて無法地帯となっている部分を整えるスキルは重宝されるかもしれませんね。

池野

ゼロイチだけでなく1を100にできる人も重要ですね。

高本

あとはマネジメントですね。会社にもよりますが、大手企業は30~40代にならないとマネジメントさせてもらえない。でもベンチャーだとマネジメント経験も早く積めます。ただし経験を積むこと自体が大事ではないんです。

例えばデキる営業って一人でなんとかしようとします。でもそこを上手くマネジメントして10人でやると10倍になる。そこを理解するためにマネジメント経験を早く積んだほうがいい。

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「マネジメントはサービス業です」

20XX年、AIに自分のスキルを可視化される?私達がすべきこととは?

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様々な会社から人材要件を聞いているなかで、AIを先進的に導入している業界があったら教えてください。

高本

例えば現状VRは一部のゲームやエンタメ業界に限られてますね。なぜなら付加価値的要素が高く、課題があるから。

AIやIoTみたいにビジネスのコアな部分に入って変革を起こすのが難しいんです。そういう意味でAIは数多くの産業に可能性がある。ビズリーチさんもやってますよね?

池野

やってますね。人材領域において、今はまだ経験や勘で評価している部分を、きちんと数値に基づいてデータに置き換える。我々はその部分をやっていこうとしていますが、人材の評価をAIに置き換えて仕組み化するのって結構難しいです。でも企業さんからは非常にご期待いただいています。この分野のニーズは高いですね。

高本

高いですね。

池野

将来的にデータで可視化されると、自分にどういうスキルや役割が求められているかも分かる時代が来ると思うんです。掛け算で二つのスキルを持つべきという話もありますけど、

・自分が持っているスキルは何なのか

・一体何を武器にご飯をたべていくのか

池野

これを明確化するのが、20代後半~30代前半なのではないかと思います。

それではお時間となりましたので、質疑応答は以上で終了させていただきます。お集まりいただきました皆さま、本日はありがとうございました。

(了)

小林由依

日刊キャリアトレック編集部員。流通経済大学サッカー部で広報、livedoorニュースのトピックス編集を経て現職。好きな本は「オシムの言葉」。最近フジテレビがドラマの再放送をやらなくなって地味に悲しいです。