「仕事はお金じゃない」デイリーポータルZ初代編集長・林雄司さんの習慣を聞く【前編】

 “習慣”は人を作るもの。とくに現在まで長期間かつ継続的に行っていることは、その人にプラスの影響をもたらす良い習慣といえるでしょう。本連載では、社会の第一線で活躍するビジネスマンの先輩たちに、20代の頃から今まで継続している良い習慣を10個紹介していただきます。  今回登場いただくのは、ニフティ株式会社が運営する情報ポータルサイトデイリーポータルZで初代編集長を勤め、現在はウェブマスターの林雄司さん。林さんが続けている習慣や仕事への姿勢を聞きました。

1. 仮病は具体的に考えておく

 僕、無理して会社に行かないんです。健康第一に生きてるんで。だからしっかり寝れるように言い訳を考えておく。風邪引いて具合が悪い、じゃなくて「駅まで来たんだけど具合が悪くてちょっと戻ります」とか「目の芯が腫れてるんですけど」とか言うとバレません。とくに目が腫れたはいいですね。一回本当にそうなったことがあってすぐ治ったんで、これは使えるなと思いました。なんか大変だ!って思ってもらえる。

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 ニフティに入ってからはほとんど使っていませんね。朝の会議に出れないときくらいかな?朝に活動するのが苦手なので二日酔いで寝てるとき以外は午前中に余裕をもたせ、打ち合わせは午後に集中させています。

2. 話す前に紙に書く

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メモパッドはマルマンのニーモシネ、方眼を使っている

 思いつきで話すとつじつまが合わないことを言いそうになるので、会議中も話すことを紙に書き起こすようにしています。文字化しておくと、考えの方向性が変になっていないかだとか、感情論になってしまっていないかとか客観視できるんですよね。  人前で話さなくてもメモとペンは持ち歩いています。ちょっといいことを思いついたってときに、メモできないともったいないじゃないですか。よく使うのがブルーブラックのペン。この色を使っているとこだわりを持っていて、頭が良さそうな人に見える(笑)メモパッドはマルマンのニーモシネ、方眼を使っています。字を書いても絵を描いてもいいので、たとえば会議で自分のイメージを伝えるときに便利です。

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ブルーブラックのペンを使えば頭良さそうに見える

 これ、年賀状に使う十二支のイラストなんです。外注するには予算が厳しい、手書きでいこうって同僚に話したら描けないっていうから「じゃあ星座で描いちゃえばいいじゃないか!星座だったらごまかせるんじゃないの?」みたいなことを思いついて。これならイラストレーターに発注しなくていいぞっという話をしました。

3. プレゼンするときに冗談を用意する

 プレゼンのときも、あらかじめしゃべるセリフをカンペに書いています。その場でしゃべってるフリして冗談も入れこみます。「あっ、そういえば」「そうなんですけどね」っていうレベルのセリフも書いておくとなんだか安心するんですよね。印刷した資料に赤ペンを使って2回も書けばもう自信満々。登壇したときのイメージが具体的にできるから、頭の整理には最適です。

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 いままでウケがよかった冗談は、いいことが書いてあるスライドで「これ絶対写真撮ったほうがいいですよ!」ってやつ。大きいイベントだとみんなスライドの写真を撮ることが多いから、登壇者の自分が「写真撮れ」って言っちゃう(笑) これで笑い取ることが多いです。あとは「なんでカメラ構えないんですか!」とか。聞いてる人の集中力が切れてそうな時には「みなさんあんまり聞いてないみたいですね」もよく使っています。

4. 少ないツールでタスク管理をする

 社会人一年目からタスクリストは作っています。上司がやってたんでマネしました。昔は手帳で管理していたんですけど、今はネットだけです。ツールも分散しないようにしています。タスク管理はRemember The Milkルーティン化された仕事が自動的にデスクトップに現れるように設定しているから「今日はなにをするんだっけ?」がなくなる。  予定はGoogleカレンダーに入れて編集部のメンバーと共有しています。先月は不規則な勤務でイベントもあり忙しかったので、起床時間も予定に入れるようになりました。そうすると「4時間寝るとしたら、朝6時までにスライド完成させられるな」とかスキマ時間の生かし方が見えるようになりましたね。自宅作業も多いから「起きる」や「会社」って予定に組み込むと便利なんですよ。

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会社員なのに「会社」っていうスケジュールが入る林さんのカレンダー

5. 相手の声の大きさで仕事の優先順位を決めない

 タスク管理ともつながってくるのですが、仕事の優先順位は意識していたいですね。  締め切りが迫ってくると、どうしても声が大きい人に振られた仕事から手をつけようとしてしまう。でもその仕事は本当に優先させるべきなんでしょうか?声が大きい人のなかには、図々しくて催促ばっかりしてきたり、割に合わないことを言ったりする人がいます。「来週までに原稿書いてね」って短納期の仕事をいきなりお願いされても困ってしまう。一方で、時間が空いたらでいいですから、と丁寧に待っていてくれる方もいる。待っていてくれるからいいやと優先度を下げてしまうのは不公平じゃないですか? 相手の声の大きさは、必ずしもその人が持ってきた仕事の価値と比例しない。自分が今すべき仕事かどうかは自分の中で決めるべきことです。

Hayashi money
仕事は声の大きさや、お金がすべてじゃない

林さんが文章を公開するとき、注意していることとは。後編はこちら

Hayashi kohenn
ネットにはユカイなことを書きたい。デイリーポータルZ初代編集長・林雄司さんの習慣を聞く【後編】
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林雄司さん

1971年東京生まれ。ニフティ株式会社勤務。 1996年から東京トイレマップなどの個人サイトを作りはじめる。2002年からデイリーポータルZウェブマスター。これまで書いた記事でわりと人気があったのはカフカ『変身』をネット通販風に描くハトが選んだ生命保険に入るなど。記事の執筆以外にいらないものガチャ札束風呂ハトナイトなどのイベントも行う。 主な編著書は『死ぬかと思った』シリーズ、『会社でビリのサラリーマンが1年でエリートになれるかもしれない話』。 好きな食べ物はホタルイカの沖漬け。

薄井千春

編集者。出版社では雑誌の編集記者として150人超のベンチャー経営者を取材する。事業会社で旅行記事のWebライティングを手がけたのちに株式会社ZINEに入社。得意ジャンルは起業・新規事業動向と旅行。最近気になるのはPCゲーム。