ネットにはユカイなことを書きたい。デイリーポータルZ初代編集長・林雄司さんの習慣を聞く【後編】

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デイリーポータルZで多くの人々に「おもしろい!」を提供し続ける林雄司さん。前編から引き続き、林さんが大切にしている心構えをさぐっていきます。

6.「天才!」「あーうまくいった」などプラスの言葉を声に出す

 これは人に言われて気づいたのですが、僕、イベントで登壇したあと楽屋や席に戻るときに「あーうまくいった」「ウケたウケたー」とか言って戻ってくるみたいなんです(笑)自己暗示でもあるんですけど「いやー今日はウケちゃったな」なんて言えば、なんかウケた気分になってくる。
 デイリーポータルZのネタを探すときも「おもしろいじゃん」って言うようにしています。ライターが編集会議で企画出すときも、相づちみたいに「天才」って言う。イケてないな〜って思ったネタでも批判的な目で見たらもったいない。生産性がないし、なんでもおもしろがりたいじゃないですか。

7. ネットにはおもしろいことを書く

 ネットで書くのはおもしろいことだけ。特にツイッターやフェイスブックは、おもしろいことを書くと仕事が来る。この人おもしろいって思われていた方がなにかと得です。とはいえパソコンに向かって「ユカイなこと書くぞ」って思うと余計なことを皮肉っぽく書きがち。だから「外で変な看板みつけたよ」とか多くの人が笑えるネタを出すようにしています。
 とはいえ怒ることだってありますよ?リアルでは「あいつバカだな」って口をついて出るときもあるけど、ネットで文字にするとすごく感じ悪くなる。冗談が冗談じゃなくなっちゃう。ですので、すっごいイライラしたときはフェイスブックで「自分だけ公開」にして投稿してます。「あ、今愚痴書いた」っていう瞬間は自分だけが知っていればいい。
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8. 公私混同する

 デイリーポータルZ自体が公私混同しているサイトですし僕の趣味のようなもの。仕事だというと「やらされている」感が出てきてしまいますが、自分が楽しいと思えることならいつまでもできます。
 ライターにも自分でテーマを選んでもらって、書きたいことを書いてもらっています。そうすればおもしろがって記事を書いてくれますし、クオリティが全然違う。割に合わなくても楽しければ平気で徹夜してしまう。そうした公私混同した人が好きですし、僕もそうありたいと思っています。

9. 人が喜びそうな仕事をふる

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 何人かのライターさんと一緒にお仕事をしていますが、仕事を頼むときに相手が喜びそうな仕事をふることがあります。会議で話したり、飲みに行ったりしてその人が喜びそうなことは何か?というのを常に考えていますね。
 ライターが以前書いて好評だった記事や連載があると、編集者は「前にウケた○○みたいな記事書いてよ」と頼んでしまいがちです。一度いいコンテンツを完成させている安心感もありますし。でもライター側はすでに飽きている。そこで僕が意外なボールを投げます。「前とは違う方向性でいったり、ちょっと遠くに取材に行ったりすると面白いんじゃないの?」っていうふうに。全然興味を持ってもらえない場合もありますが、喜んでもらえることが多い。
 僕は自分で記事を書くのも好きですが、編集の仕事のほうが好きだな。ライターさんにとって意外なネタをお願いして、その記事がウケたほうが満足感がある。自分が振った企画とか直した記事にどんどんいいね!がつくとすごい嬉しい。それに自分一人で書いても一本しか記事はできないので、何人かに頼んで面白い記事を何本も作れるほうが達成感があります。違う職種のかたでも、同じようなご経験があるんじゃないですか?

10. 自分が率先して動く

 ばかばかしい記事を書いて欲しいとお願いするときは、自分もばかばかしい記事をつくるようにしています。口先だけじゃなくて自分も一緒にやるって感覚はいつも持っていますね。「俺もやったんだからやりなよ」とかじゃなくて

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「俺がやってすごい楽しかったから、君もやりなよ」と相手に響く提案ができると思います。  編集者が記事を書くことは多くないんですけど、自分で記事を作らずに「こういう記事書いて欲しい」というのは説得力がありません。デイリーポータルZの編集部でも、ほっとくとみんな真面目な記事を書いちゃう。ネットでたまに「こいつバカじゃねーの」ってコメントをいただくのですが、こうした正論を真に受けると真面目な記事を書かなくちゃいけないってなる。そうした流れを食い止めるのが僕の役割です。「真面目なことやるなよ、不真面目なことをやろう」という意思を再確認して、自分が率先して動く。
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 真面目なほうが楽なんです、正解があるから。でも読者には興味を持ってもらえない。正論から外れた変なことや余計なことをして「こいつは何者ぞ」って思ってもらいたいですから……って真面目なこと言っちゃいましたね(笑)

まとめ

 生活習慣は5年後、10年後の自分に響いてきます。地味な習慣でも、意識して毎日続けることが大事。この機会に、今一度自分の生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

林雄司さん

Hayashi prof
1971年東京生まれ。ニフティ株式会社勤務。 1996年から東京トイレマップなどの個人サイトを作りはじめる。2002年からデイリーポータルZウェブマスター。これまで書いた記事でわりと人気があったのはカフカ『変身』をネット通販風に描くハトが選んだ生命保険に入るなど。記事の執筆以外にいらないものガチャ札束風呂ハトナイトなどのイベントも行う。 主な編著書は『死ぬかと思った』シリーズ、『会社でビリのサラリーマンが1年でエリートになれるかもしれない話』。 好きな食べ物はホタルイカの沖漬け。