仕事ができる人の習慣を知りたい。編集者・中川淳一郎さんの場合

 “習慣”は人を作るもの。とくに現在まで長期間かつ継続的に行っていることは、その人にプラスの影響をもたらす良い習慣といえるでしょう。本連載では、社会の第一線で活躍するビジネスマンの先輩たちに、20代の頃から今まで継続している良い習慣を10個紹介していただきます。

 第2回目に登場いただくのは、数々のウェブメディアで編集長を務め、『ウェブはバカと暇人のもの』などの著書も数多く持つ、編集者の中川淳一郎さん。中川さんが続けている10の習慣を聞きました。

1. 誰に対しても「さん付け」する

 さん付けしたほうが無難じゃないですか? 相手の立場によって、対応を変える人だと思われるのも嫌ですし。たとえば、35歳のサラリーマンが、26歳の上場企業社長に対して、君付けはしないと思うんですよ。でも、本来そうやって、相手が「社長だから」「すごい人だから」という理由で行動を変えるべきではなく、誰に対してもそうあるべき。オレは学生時代の後輩や仲間を除き、社会人になって関わり始めた人全員に対し、さん付けを徹底しています。

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中川淳一郎さん。9月某日、代々木八幡の居酒屋にて

2. お金にうるさくしない

 独立してからは、クライアントに対してギャラ交渉を一切しなくなりました。会社員時代と違って「◯◯万円以上でなければ請けるな」と言う上司もいませんからね。クライアントごとに予算規模は違いますし、一番偉いのは発注主ですから、そちらの原理に従うべきです。よほど悪い人でない限り、会社の規定にもとづいて支払ってくれます。
 それに、お金にうるさい人って、予算が潤沢なときは仕事を請けてくれるけれど、予算が少ないときは仕事を断るんじゃないか、とも思うんですよね。オレがお金にうるさくしないのは、自分も発注側からそう思われると、損してしまうとわかっているからなんです。

3. 受注する仕事の基準を明確にする

 来た仕事はすべて「金払いが良い」「成長できる」「仕事相手が好き」の3要素をいくつ満たすかな、と考えます。3つを満たすと最高、2つだと少し愚痴りながら頑張る、1つだとかなり愚痴って手を抜く(笑)、1つも満たさないと仕事ではない――オレは独立1年目から、そんな基準を持っています。
 嶋浩一郎さんからいただいた、アフガニスタンの取材は2つ満たしています。とんでもなく低いギャラでしたが、戦争が終わった直後の現地で過ごすことで成長できると感じましたし、大好きな嶋さんが発注側でしたから。「20日間も現地にいたのにこの金額ですよ(笑)」と愚痴を笑いに変えながら、真剣に取り組みました。

4. 忙しぶらない

 「忙しく見えない人」って、仕事を振られやすくて、結果的にたくさん仕事できるんです。お金がもらえて成長機会も得られて、良いことばかりじゃないですか。
 上司が自分の背後を通るとき、忙しくもないのにワードやパワーポイントを開いて“修正しています”風の演技をするよりは、暇なら堂々とネットサーフィンをしていたほうが、「君、暇なの?」「時間ある?」と声をかけられて、チャンスを得られるものです。もし本当に暇だったら、暇そうにしておいたほうが断然良いですよ。

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ピンクのガラケーを愛用。スマホは持たない主義。「携帯ショップで”一番変な色をください”とお願いしたらこの色が出てきた」

5. 紋切り型のビジネス言葉を使わない

 ビジネスの世界には、定型句みたいなものがあります。オレがよく聞くのは「バタバタしていて連絡が取れませんでした」。おまえは鳥か? 唐揚げにしてやるぞと思う(笑)。よく考えたらナニソレ、と思いませんか。
 言葉として最悪だと思うのは「難しい」。「これはちょっと難しいですね」って、聞いたことはありませんか? できるかできないかが、まったく伝わらないじゃないですか。「できません」とハッキリ伝えたほうがはるかに良い。同様に「再考の余地がありますね」もひどい言葉ですよね。
 人がよく言うビジネス慣用句や結論を言わないセリフを使うと、バカだと思われるだろうと、自覚しておいたほうが良いと思います。ビジネス上のやりとりで違和感をおぼえる言葉があればメモしておき、それを使わないよう徹底するのがおすすめです。
 昔から他者との比較で「相対的にまともに見えるかどうか」は意識しています。不思議なことに、それだけで有能だと思われるものなんですよ。

6. 立場を上げる

 さっき「情報収集はどうしていますか?」と聞かれましたが、“編集長”みたいに立場がエラくなると、何もしなくても情報が自然と入ってくるようになります。働いてくれる人たちに一斉に指示を出すと、彼らが情報を集めてきてくれるんです。
 しかも、調べた膨大な情報から厳選した上で、オレにネタ出しをしてくれるわけで。オレはそれを見るだけ。これは立場がなし得る状況です。できる限り早いうちに立場を上げるよう、努力したほうが良いですよ。

7. オンとオフを意識しない

 ライターや編集の仕事をしていると、とくにオンとオフの境界線がないですよね。見るもの聞くもの、すべてがネタにがなりますから。「プライベートと仕事は完全に分けています!」みたいな人は出世しないでしょう。オンとオフを分けない人は、そういう人よりもずっと、仕事に対して誠実だと思うんですよね。

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「医者に止められたから、14日間禁酒してたんだよ」と中川さん

8. イイ女(イイ男)と仕事する

 会社員時代は極力、イイ女がメンバーに多い仕事を積極的にしていました(笑)。以前、ジャパンインターナショナルボートショー(前・東京国際ボートショー)の仕事を請けたときも、美人が多いPR会社と組んでやっていました。それが楽しかったんですよ。よく奢ってくれる上司と仕事をするのも、良いですよね。
 何が言いたいかというと、一緒に仕事をしていて楽しい相手と組もうということです。そのためにも自ら役割を積極的に買って出たり、それによって信頼してもらったりすることが大事だと思います。

9. 早起きする

 普段の起床時間は6時半頃ですが、本気で仕事する日は4時起きです。オレは原則休みがないので、土日も同じスケジュールで動いています。早朝に仕事すると良いことはたくさんあります。たとえば、新聞配達の方やコンビニに商品を搬入する方などを見ていると「朝早くから頑張って仕事してるなぁ、俺も頑張れ!」と思えるんですよね。
 誰もSNSを更新しないのも良い。ニュースもその時間帯は更新されませんし。余計な雑音が入ってこないんです。だから早朝に原稿書きなど中断が入ってほしくない仕事をして、昼間にそのほかの編集業務などを行っていますね。
 早起きするぶん、夜は早めに寝ますよ。昨夜は10時に寝ました。飲み会がある日も11時過ぎには寝て、5〜6時間は睡眠を確保します。しっかり寝ないと仕事はできません。

10. 体型を保つ

 太ると電車や飛行機などの乗り物で、隣に座る人から鬱陶しがられますよね。乗り物に乗るだけで気を遣うのはツラい。もちろん体への負担も大きいですから、痩せ型を維持しておくべきだと思います。
 オレは体型を保つため、夕食前にベンチプレスをしています。その後で肉などの良質なたんぱく質を摂取すると、筋肉がつくんです。ほかにも、筋トレはストレス解消をはじめとして、素晴らしい効果がありますよ。持ち上げられるギリギリの重量のものを持ち上げると、イライラも消え去りますから。

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本気のエアベンチプレスを見せてくれた

まとめ

 生活習慣は5年後、10年後の自分に響いてきます。地味な習慣でも、意識して毎日続けることが大事。この機会に、今一度自分の生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

中川淳一郎さん

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1973年東京都立川市出身。1997年博報堂入社、CC局配属。2001年退社、無職、ライター、編集者を色々やり、現在ネットメディアの編集を中心に行う。