リアルではクソ地味なんです。ブロガー/投資家・やまもといちろうさんの習慣を知りたい【前編】

“習慣”は人を作るもの。とくに現在まで長期間かつ継続的に行っていることは、その人にプラスの影響をもたらす良い習慣といえるでしょう。本連載では、社会の第一線で活躍するビジネスマンに、今まで継続している良い習慣を10個紹介していただきます。
 今回ご登場いただくのは、投資事業やブログ運営を手がけるやまもといちろうさん。やまもとさんが続けている10の習慣を聞きました。

1. つねに冷静さを保ち、平常心でいる

 子どものときから嫌われて育ってきて、あまり人に好かれたことがないんですよ(笑)。いまでこそ、対人スキルを磨いて人並みのコミュニケーションを取れるようにはなりましたが、学生時代にクラスでみんなが楽しそうにしていても、遠巻きに見ることしかできなかった。ただ、誰と誰が仲が良くてどんな話をしているのか? どうやって彼らが立ち振る舞っているんだろう? と場を客観視するクセがつきました。自分が輪の中心にいるときですら、無意識に自らを客観視してしまいます。
 実際に私が得意なのも、コンテンツ投資をするときの製作委員会の組成やデータ処理の仕組み作りなど、裏方とも言えるサポートの分野。何かをやりたい人がいたとき自分が何をサポートすべきか考えたり、トラブルが起きたときにどうすれば解消できるのか考えるのが私の仕事です。そのためには、どうしても俯瞰的な視点が重要です。相手と一緒に動揺していては仕事になりませんから、常に平常心でいることを最優先に心がけています。

 ウェブ上では結構派手なことを言うからか「ブログではエラそうなこと書いてるけど、実際にやってることがクソ地味すぎるんだけど大丈夫?」「当初思っていたやまもとさんと実際はずいぶん違いますね」と言われたこともあります。別にお前らのイメージ通りに仕事をするわけでもないし、うるせーな馬鹿、とか思うのですけど(笑)人からの評判はともかく、心は常に冷静でなければいけないなと思っています。

2. 原稿執筆はスマホでフリック入力

 新しいデバイスやツールをチェックして便利そうだなと思ったものは活用しています。2年ほど前からは、原稿もPCではなくスマホを使って両手で書くようになりました。スマホを持ち始めて外出先で長文メールを返しているうちに「一見手間はかかるけど、スマホの文字入力も結構早いじゃん」と便利さに気づきまして。実際、予測変換と組みあわせればフリック入力のほうが圧倒的に早いんです。よく考えたら、キーボードのタッチタイプも両手10本使っているようで実際にキーを押している指は一本だけです。やってみて、両手でスマホを操作しているからか腱鞘炎にもなっていませんね。移動中にも文章が書けるので生産性が上がりましたよ。

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相棒はiPhone6

 セキュリティの厳しくない業務に限っては、仕事でもGmailやチャットツールのSlackを使いますが、ほんとうに便利。こうした新しいものを取り入れることに、昔ながらのメンバーはやはり抵抗はあります。しかし関わる人や自分にとってのいちばん良いツールは日々変わっていく。セキュリティの問題も踏まえたうえで使えそうだと思ったものは迷わず導入しています。

3. 稼働時間を意識する

 8年前に35歳で結婚して以来、家族と過ごす時間を第一優先にしました。ほかは相場をやったり、原稿を書いたり、考え事をしたりといった、仕事に時間を費やしたりすることが多いでしょうか。自分のコンディションも考えて月単位と週単位で計画を立てています。たとえば来週はこれくらいの時間が取れそうだから、こういうかたちで物書きしようとか、情報収集にこれくらいの時間をかけようだとか。原稿のノルマも記事数でなく、文字数で決めるようにしています。まあ立てた計画が崩れることも少なくありませんが(笑)少なくとも、ダメだったと判断してフィードバックしたほうが自分なりのものにはなると思うんです。何も考えずに過ごしていたら怠けてしまうだけですから。

 お奨めするのは自分自身のための時間をちゃんと予定に入れておくことです。ボーッとする時間という意味ではなくて、取り組むことを考えるための、自分の時間です。自分と向き合って、何に取り組んで、どういう価値をアウトプットしようとしているのか、自分で考える時間がないまま、打ち合わせや資料作りの予定を目いっぱい入れてしまうと、いつも何かに追い立てられまくる日々になってしまうんですよね。それに気づけたのも、家族ができてからです。それまでは、本当に馬車馬のように睡眠時間を削って働いていたんですよ(笑)その点でも、家内や家族には感謝しています。

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「自分と一緒に暮らしているものに対して価値を感じているんです」と笑みがこぼれる

4. 業界人の「気になる」を重要視する

 私はおカネや仕事に関するやり取りよりも、業界情報のやり取りを重要視しています。優秀な人ほど、自分の業界の流行や売り上げなどの数値はぜったいに言わない。でも個人的に注目していることや、おもしろいと思っていることについては意外と話してくれるんです。これらの興味が何年後かに事業化されているように感じています。「前々から思っていたけれど、やっぱり来たか」というような経験が皆さんにもおありじゃないですか?考えていたのに、先にやられてしまった!みたいな。
 それに「面白いことがある?」と聞いて、その場でポッと答えてくれるものというのは、その人のアタマに引っかかっている重要なこと。世の中は人の関心で構成されています。関心があるから、それに関する行動をするのです。関心を持たれないものは価値を生まず、勢いもない。ですからまだ世の中に広まっていないところで、業界人が面白がっているものを先に知った者は有利です。彼らの言葉によって主流のサービスを知ったり、今後の方向性がどうなるかを占ったりできると思います。

5. 交流会などで無理やり人脈をつくらない

 キャリアは何十年も続いていくもの。今この瞬間だけを見つめていてはいけません。大切なのは自分が50歳、60歳になったときに「コイツらが生きているうちなら自分も付き合っているんだろうな」というような人たちとどれだけ会うことができるかということなんです。
 たとえば名刺交換会に参加して200人の人に名刺を渡したとしても、翌月になったら人脈として誰一人残っていないということがあると思うんですよ。残念かもしれないけど、意外とそんなものです。ひょっとしたら、先方にとって私自身が役に立ちそうな人間に見えないだけかもしれない。逆に積極的につながろうとせず、仕事をご一緒したことがない方との付き合いが生まれる場合もあります。フェイスブックで話していた方がビジネスを展開したとき、実はウチの会社の仕事と近く、協業できることがあるというように。正直言って、どこに何があるかや何が幸いするかは分かりません。

 だからこそ、アンテナの張り方は自分なりにきちんとアレンジする必要があると思います。しっかりと何をしたいのか見据え、それを実現するために自分の能力や人脈に何が足りないのか、見定めないまま人とたくさん会っても素通りしてしまうだけです。「欲しいもの」を明確にする作業がなければいけませんし、意外と人を見抜くというのは難作業です。5年、10年と付き合って仕事をして見ないと分からないことはたくさんあるということです。

ミクシィ本社を横目に、mixi日記について思いのたけを語るやまもとさん。後編はこちら

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40歳で履歴書書いてる人はヤバいと思います。ブロガー/投資家・やまもといちろうさんの習慣を知りたい【後編】

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やまもといちろうさん

1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる。統計処理を用いた投資システム構築や社会調査を専門とし、株式会社データビークル取締役、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員など現任。東京大学と慶應義塾大学とで組成される「政策シンクネット」の高齢社会研究プロジェクト「首都圏2030」の研究マネージメントを行うなど、社会保障問題や投票行動分析に取り組む。『ネットビジネスの終わり』(Voice select)、『情報革命バブルの崩壊』(文春新書)など著書多数。

2016年1月19日10:04更新

社名・サービス名を正しいものに変更しました。ご指摘いただきありがとうございました。

薄井千春
編集者。出版社では雑誌の編集記者として150人超のベンチャー経営者を取材する。事業会社で旅行記事のWebライティングを手がけたのちに株式会社ZINEに入社。得意ジャンルは起業・新規事業動向と旅行。最近気になるのはPCゲーム。