40歳で履歴書書いてる人はヤバいと思います。ブロガー/投資家・やまもといちろうさんの習慣を知りたい【後編】

事業投資家・ブロガーとして、多くの人々の注目を集めているやまもといちろうさん。前編から引き続き、人生の選択やお金に関するルールなどをうかがいました。

6. mixi日記だけを続けない

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ミクシィ社が入居する住友不動産渋谷ファーストタワーとやまもとさん

 いろんなものを客観視してみるクセのせいか、自分は本当にこれで評価されているかとか、時代の流れに乗れているのだろうかなどに対してすごく敏感になるんですね。世の中には流れがある。そしてその流れに抗ってしまうと簡単に沈んでしまうんです
 インターネットでたとえてみましょう。まずパソコン通信からインターネットにシフトできなかったユーザーは、存在感がなくなって“死に”ました。ネットが普及して掲示板が生まれたら、その文化について来れなかった人も死ぬ。ブログ、mixi日記、ケータイ小説、ツイッターやフェイスブック……人の波がある新しい文化に順応できなかった人たちは消えてしまっています。今はインスタグラムが流行っていて、手軽に写真で情報を伝えられない人は死んでいくでしょう。
 他の人が使っているツールを使いこなさないとダメです。人が集まるサービスや場所には、必ず何か理由があるのです。新しいサービスの食わず嫌いをしていたらそのサービスのユーザーを全員逃すことになりますから。かつてのアルファブロガーにもスマホ対応の大きな波に乗り遅れて沈没し、存在感を失った人が少なくありません。自分が慣れ親しんだ方法に固執せず、新しいものにも適応していかなければいけませんね。

7. 自分の中にあるこだわりを捨てる

 人間のスキルも時代に合わせていかなければいけない。自分は今月43歳になりましたが、部下には40歳にもなって誰かのために自分の履歴書を書くような仕事の仕方はするなと言っているんです。40歳になってどこかに就職の面接に行くようなことはもう“負け”。それまでに、いろいろな人脈を培うですとか、偉い方とのお付き合いの作法を知ってほしいのです。したい仕事、自分にしかできない仕事が、自己紹介せずとも自分ご指名でやってくる、というのが理想。こうした身の処し方にくわえて実績をきちんと積んでいけば、仕事は向こうからやってきます。

 若い皆さんは「自分の作品をつくりたい、すごい仕事をしたい」とおっしゃる方が多いのですが、こうしたこだわりは正直言ってどうでもいい。あなたの考えるすごい仕事とは何ですか?具体的に何がしたいのか?たとえば「ベンチャー企業に投資をしたい」といっても色々な仕事があります。ファンドを組成したいのか、それとも出資者(LP)や運営者(GP)になりたいのか、ハンズオンの責任者になって若い企業のメンバーと一緒に汗をかきたいのかなど、自分の考えをはっきりさせましょう。そのうえで他人から求められるためにどのような資質が必要なのか?今あなたがしている仕事を極めることで人から呼ばれるような見込みはあるか?もしそうでなければ、足りないものは何か?転職する必要があるのか?というふうに自分の棚卸しをしていかなければいけないんです。数年後に「アイツはここがすごいね」って思ってもらえるようになるために、いかに自分のスキルを編成していくかを考えるべきです。

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8. しないという選択をする

 人間一人が持てる能力や時間には限界がある。だからこそ先を見据えて自分が今何をしなければならないのか、ということを考える必要があると思います。学力や人脈、お金や時間の投資……これらの制約を乗り越えてまでも成し遂げられるかというマインドはもちろん、目標に立ち向かうためには何が必要なのかという計算も必要。そうなってくると優先順位が低いことをいかにやらないかということが大事になってくると思います。
 優先順位を決めたとしても、あれもこれもと欲張るヤツらの多いこと。選択肢を捨てきれないままでは中途半端でロクでもない習慣ばかり残っていってマイナスにしかならないです。なので、ある程度怠惰なところも残しながらも、ここはやはり制限していこう、という決意は必要です。優先順位の高い仕事は、自分にしかできない、一番価値のある仕事です。優先順位や生き残り方など、自分がどうやって生きていくかは自分にしか決められませんから。

9. 人にお金を貸さない、おごらない

 これまでの自分の人生を振り返って後悔していることは、誰かにカネを貸して返ってこないことですね。借りた側はのほほんとしていて、本人が忘れたころに裁判所からの召集状が届いてから、初めて顔を青くして私に連絡をよこしてくる。貸したこっちは「カネ返ってこね~失敗した」って思っているのに(笑)
 人情で株を買うのも絶対にやめたほうがいい。個人的に「この社長にならお金を支援したい」と入れ込んで期待していたベンチャー企業の株を買ったあとにダー!っと15%くらい値下がりした経験があります。もしかしたら復活するかもと損切りせずに持っていたら底入れ。別の事業で復活して、全回収できたのですが。ビックリしましたし、マジか、という感じでした。まあ、いろんな運やご縁はあるものですが金で繋がっている関係はギブアンドテイクといってもあまり長続きしないですね。
 投資なら仕方ないと思えても、人間関係ではいかにカネを貸さないかを心がけましょう。仕事などの貸しは作ってもカネは貸さない。友人関係でも同じ。貸さない・おごらないは鉄則ですね。

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10.神は見ていると自覚する

 最後にお話したいのは、少し宗教がかった話になるかもしれませんが、自分が正しいと思ってやっていることは神さまには必ず説明できるように心がけているということです。
 私の同年代の方のなかに、キャリアを築いていた頃の自分を捨てられない人っているんですよ。「バリバリ働いてオレは楽天を抜いていくぞ」「ソフトバンクなにものぞ」くらいの勢いを持ち、すごいキャリアを作りたくて、若いころはモーレツに働いていた。でも40歳くらいになってもなおもモーレツに働こうとしている人がいるんですよ。一生続けられますかね? 奴らが仕事のために人生を捧げるのは構わないですけど、55歳とか60歳になったときに体の具合が悪くなったときにどうするんですか?何も残らないよ?と思う。人生を棒に振らないためにも、まず無理のない人生を送るための着地点を認識する。そして着地点に向けて振り返って「自分は何がしたかった」「こういうことがあったけど、自分はこういう判断をした」と神に対して胸を張ってちゃんと説明ができるかということなんです。

「誰からこのように見られたいからこうした行動をとる」ではなくて自分なりの正しさの基準を常に持っておく。たとえ誰かと口論になったとしても言うべきことは言うようにして、あとから相手が思い返したとき「あのときアイツはアイツなりに正しいことを言っていたんだな」と思ってもらえる振る舞いをしましょう。後ろめたいなんて感情はもちろん、後腐れが生まれなくていいですよ。
 誰かに評価されたくてやったことというのは、やはり長続きしません。自分がしたいこと、納得できること、例えば超越者がいたとして問われたときに「私は正しいと思ったことをきちんとしました」と言えるのかどうか。たとえそれが、誰かの反対や、誰かの不興を買うとしても、流されずに、自分の中の良心の六分儀をしっかりと持って目的地へ進んでいくしかないのでしょう。

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まとめ

 やまもとさんが活躍してきた秘訣は、自らの軸をもちつつ柔軟に変化を続けることにありました。お話いただいたような心がけや生活習慣は5年後、10年後の自分に響いてきます。地味な習慣でも、意識して毎日続けることが大事。この機会に、今一度自分の生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

Yamamoto prof1

やまもといちろうさん

1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる。統計処理を用いた投資システム構築や社会調査を専門とし、株式会社データビークル取締役、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員など現任。東京大学と慶應義塾大学とで組成される「政策シンクネット」の高齢社会研究プロジェクト「首都圏2030」の研究マネージメントを行うなど、社会保障問題や投票行動分析に取り組む。『ネットビジネスの終わり』(Voice select)、『情報革命バブルの崩壊』(文春新書)など著書多数。

2016年1月19日11:30更新

画像キャプションの文章を修正しました。

薄井千春
編集者。出版社では雑誌の編集記者として150人超のベンチャー経営者を取材する。事業会社で旅行記事のWebライティングを手がけたのちに株式会社ZINEに入社。得意ジャンルは起業・新規事業動向と旅行。最近気になるのはPCゲーム。